海の見える街

意味とか価値とか、そういうのがあると最高に良い

一緒に

あれがもう五億年も前のことだなんて、

未だに信じられないな。

 

太古の呪い。

恐竜に憧れたあの子。

 

誰何を問えば意味は失われてしまう。

言葉が花になってくれたら、うまく渡せるのに。

どんなにやさしい気持ちも、

口に来た時には冷めてしまっている。

何光年も泳いだ信号は、ぼくらに数字を届けてくれるんだ。

 

「死にたい」と泣く君を、

「どうして泣くのか」と糾弾したい。

 

知らなかったんだ、君もそんな顔をすること。

そんな声で鳴くってこと。

 

良質な音楽を摂取して、ぼくは世界を構築する。

その世界に君はいらない。

その世界にぼくはいらない。

ぼくは忘れない

君がまだこの星に生きているってこと、覚えてるよ。

こうして歌にしてまで、忘れないでいようとするのは、

きっと愛しているから。

本当、殺したいくらい。

 

自意識過剰だなんて言う連中に真実の愛なんてわかりっこない。

君は五線譜の中に何を見た?

誰よりも透明なら、どこにもいないのと同じだ。

 

灰になりたいって言葉は、風化し損ねたみたいだね。

暖かい化石なんてない。

 

何も残せないかもしれなくて。

特別になれないかもしれなくて。

 

それでも、ぼくは君を忘れない。

人間

生まれただけで罪深い。

原罪 ひとさじ

汚れきった性欲 3ミリグラム

不出来な計算機 一台

煮込んで成型して、

出来上がったぼくらはどうやら神様と同じ形をしているらしい。

 

『昔々、あるところに、夜を食べた梟がいました』

なんて、誰が幸せになれるんだよ。

笑える。

 

海の見える家も、青い街も、本当はないんだってこと。

わかってるはずなのにね。

 

眼下の街。

十字架の絵。

 

許されたくなんかないんだろう?

死にたがりくらいがちょうどいい。

 

君は誰にも会えない。

愛情の点滴と、回帰する錠剤。

何回目にも、君は誰にも会えない。

万華鏡とシザーハンズ

余った紙粘土。

干からびているのを見て、死んでるって思ったのは私だけ?

 

ねえ、心の在処を教えてあげようか。

君は随分長い間心ばかり探しているようだから。

 

朝焼けの色をしたコーヒーを飲んだ時。

お気に入りの靴を履いた時。

誰かの温もりに距離を感じた時。

 

目を閉じて深呼吸してごらん。

そこにはなんでもあるよ。

心なんて一山いくらだ。

 

ちぎってばらまいてみようか。

なんて、冗談。

部屋が汚れちゃうもの。

 

誰も私を知らないから、いくらでもやさしくなれるね。

いつだって私はハサミを持ってる。

左利きってかっこいい。

 

万華鏡に涙を注いで、これで世界は水浸し。

アトリエの箱

どこまでも芸術家でありたいと思った。

君だって誰かを殺したくなる時があったでしょう。

 

哲学と音楽と言葉とコーヒーと。

ぼくを構成するすべてが何かを否定しようとするのなら、

法律とか良識とか、

そんなものが何になるっていうの。

 

水槽に閉じ込められた美学は、きっとくすんでいるよ。

だけどみんな水槽の外では生きられないことを知っているから、

美しくあることを拒絶しているんだね。

 

だから。

せめてやさしくありたいと今日も思う。

うたかたはうつつのそばで

簡単に死ねなんて言うなよ。

何も傷つけたことのないみたいな、無垢な顔で君は言う。

 

歌がどこまで歌であり続けられるかなんて私は知らないけれど、

誰もが音楽の必要性を信じてる。

 

その金魚に名前はない。

 

さっき読んだ小説の主人公のほうが、

私たちよりずっと美しく生きていたよ。

彼らとテレビの中の俳優と何がちがう?

 

70億分の1の分際で、言葉なんて贅沢だ。

雷は呪いになる。宇宙中の羊を集めてこなくちゃ、とめられない。

金曜日のレイトショー

「何かをつくるときはいつだって孤独だ」

ロックンロールはそう言った。

 

たとえば神様が、孤独で、

だからさみしくなって、

この世界をつくったのなら、とても素敵。

 

君と昨日読んだ小説の話をしたい。

街を歩く冬の空気や、

ぼくらと世界の間にある薄い膜について話してみたい。

 

今日は金曜日。

証明写真を撮ったら、映画でも観に行こう。