海の見える街

意味とか価値とか、そういうのがあると最高に良い

耽美派の手記

見るものぜんぶ燃えてしまえばいいって思うけど、一番燃やしたいのは自分だし、死にたいというよりは死んだほうがいいって思うけど、死んでなんかやらないとも思う。生きることが罰なんだよって戒めたあと、ただそうやって正当化をして、死にたくないだけだって気づく。戦争や災害はあるけれど、この世界は完璧だ。あまりに完璧に見えるから、なにひとつ欠けてもだめな気がして、だから死なないでって思う。誰かに死なないでなんて思ううちは、まだ自分以外の世界に干渉しようだなんて図々しさが残っているうちは、死んだらいけないんだと思う。

「お前は混じりけのない氷のようだね」

そう言われて、罪を暴かれたような気分になった。最低な気分。狂っているふりをしているのか、本当に狂ってしまっているのか、もう自分では判断できない。こんな苦悶や懊悩も、どうせ何千何万のひとたちが持っているのとそう大差なくて、この絶望すらも特別なんかじゃなくて、やっぱりぜんぶ燃えろよって思うんだ。

どうせ死なない。自分はこうやって生きていく人種なんだ。美しくありたい美しくありたい美しくありたい美しくありたい美しく美しく美しく美美美美美美……。狂気に抱かれて今日も眠る。