海の見える街

意味とか価値とか、そういうのがあると最高に良い

枕木の代わりに死体を置きましょう。
どちらもぼくにはそう変わりはないから。
白無垢のような彼女が、ぼくは気持ち悪い。
小説の中でなら、いくらでも許してあげたのに。
それはぼくも同じかと思い直して、花を折る。
彼女は想う。
生と死の概念が反転した世界のこと。
ぼくらは今死んでいて、
いずれ生まれゆく存在かもしれないということ。
願わくは悪夢がずっと見られますように。
いつまでも病んでいたいなんて、
残酷な彼女のことだ、
許してはくれないだろう。
潔白の化物だ。
ぼくはその身も凍るように美しい白になら、
殺されてもかまわない。