鳳仙花
ぼくにふれないでよ。
こわい、こわい、こわい。
はじけて、こわれて、とびちって。
ぼくのつづきにぼくはない。
ああなんと生きにくい世の中か。
親知らずは痛いし、爪が伸びるのは気持ちが悪い。
こんな世界にも大好きなひとたちがいます。
なんて、ざんこく。
頭上でいのちが旋回しているよ。
思えばいろんなものに憧れていたね。
うちゅうひこうしだったかな。
がくしゃだったかな。
しょうせつかだったかな。
なにになろう。だれになろう。
ぼくのつづきにぼくはないけれど、
ぼくのおわりにだれかがいるなら。
きみに触れられるかもしれない。
そうだといいな。