海の見える街

意味とか価値とか、そういうのがあると最高に良い

2016-05-04から1日間の記事一覧

三月の化石

「私はあの子になりたい」 三度目の春に彼女はそう言った。 「ぼくはずっと海が見ていたいな」 吐く煙は細く、淡く。油絵の勉強と称して行った植物園には、ネモフィラの花が咲いていた。 「学者なんて最低な生き物よ」 そう言って彼女は煙草を一本ねだった。…